木楽創研株式会社

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キラクトラスとは

キラクトラスとは8点軸で固定する柱と梁からなるEPSS工法によるユニットのことです。
間伐材の利用を考え抜いて生み出した「キラクトラス」は2011年12月に特許を取得しています。

開発ストーリー

豊かな森に魅せられて

 木は古くから建材として、燃料として暮らしのさまざまな場面で利用されています。これを支えるのが豊かな森林です。
 私は無尽蔵ともいえる資源の宝庫「森林」に魅せられ、木材に携わりたいと素材生産を行う銚子林業に入社。森林や木材のイロハを学び、木材の持つ可能性に目覚めていきました。
 2000年、木材の可能性を広げてみたいとの思いから、銚子林業の木材加工部門を独立させる形で銚子林業木材加工所を創業。住宅建設用材の加工等を手掛けるようになりました。

山が荒れている現状を前に

 私が創業した2000年以降、立木価格が最盛期の1/3以下と長期の低迷に突入し現在まで続いています。それに伴って木材生産量も縮小。さらに間伐も進まず、山の荒廃が進んでいました。
 「このままではいけない。もっと木材を使うことはできないだろうか。けれどそもそも何から手をつけたらいいのだ?」
 こんな思いを胸に森林や木材のことをみていると、

  1. 立木価格が安く山から切り出しても経費に取られ山主の手元に利益が残らない。
  2. 利益にならないので間伐が進まない。そのため立木は細いまま放置される。
  3. 細い材は商品価値が低く、安い価格でしか売れない。

という悪循環が分かってきました。
 ならば間伐材の付加価値を高める使い方を見つけ出せばいいという思いに至り、アイデア探しの日々が始まりました。

間伐材の新たな活用を思案した末に

 良質な間伐材は建築材として用いられますが、それ以外はチップ化され、集成材、パーティクルボード、バイオマス燃料などに利用されています。これらの利用は量が限られています。
 なんとか建築材として利用できないものかと思案に明け暮れました。あるとき鉄パイプや鉄骨の農業用施設を木材に換えてみてはどうかと思いつき研究を開始。
 それから数年が経ち、EPSS工法の「キラクトラス」が完成しました。

特許技術・性能

簡単なのに強い構造体 キラクトラス

 キラクトラスとは8点軸で固定する柱と梁からなるEPSS工法によるユニットのことです。その特徴としては、保形性や耐久性を有するとともに内部空間を広く確保可能な小屋構築体を提供できることです。
 キラクトラスは2011年12月に「小屋構築用柱梁ユニット及びこれを用いた小屋構築体」で特許を取得しました。
 その後、独自の実証試験などを通じて改良を重ね、改めて同じ発明名称で特許出願し、2017年9月に取得しました。

特許第6202688号
小屋構築用の柱梁ユニット及びこれを用いた小屋構築体

キラクトラスユニットの構造

 キラクトラスユニットは、2本の棒状部材の端部どうしを連結すると共に一定の開き角をもって配設して棟部と屋根勾配を形成する一対の登り梁部材2と、登り梁部材の軒桁側の端部付近と上端部を連結して立設保持する柱部材3と、一方の登り梁部材の棟部から軒桁側に下がった位置と他方側の登り梁部材の略中間付近とを連結させた一対の棟側梁支持部材4と、登り梁部材とこれを連結した柱部材とに架設連結した軒側梁支持部材5と、から構成されています。
 棟側梁支持部材と軒側梁支持部材は、連結箇所においては端部どうしを突き合せ結合します。
 小屋構築体は、該柱梁ユニットを桁行方向に所定間隔で複数配置し、各ユニットを相互に桁部材、母屋部材、軒桁部材にて連結及び保形して構築します。

多用途耐候性木骨ハウス

 このキラクトラスユニットを連結させることで小屋構造を形成し、外部被覆材と内部設備を加えることでさまざまな用途に利用できる木骨ハウスを構築します。
 柱・梁の長さを変えることでユニットサイズを変えることができます。また、ユニットを並べる数により奥行きを、ユニットを連棟させることにより幅を変えることが可能です。
 キラクトラスは用途に応じてサイズを変えられるフレキシブルな施設です。

岩手県農業研究センターの実証

 2013年から2017年までの岩手県農業研究センターとの共同研究において、キラクトラスの耐候性(強さ)や採光性が実証されました。

<共同研究概要> ※ 木骨ハウス関連抜粋
研究名称中山間地域における施設園芸技術の実証研究
研究代表機関岩手県農業研究センター
共同研究機関農業・食品産業技術総合研究機構
富士通(株)、東日本機電開発(株)、石村工業(株)、木楽創研(株)、岩手大学、茨城大学
研究概要地域の条件に適応した施設園芸生産を進めるための研究開発と実証研究を行い、施設コストと暖房コストの削減、新作型や新たな栽培法と情報通信技術(ICT)を活用した技術の最適化による収益率の向上を目指すもの
研究目標園芸施設のイニシャルコスト、ランニングコストを低減(坪単価5万円以下の木骨ハウス)
研究成果仕様の変更
・基礎杭資材の変更
・柱間隔を2.4mに拡大
・被覆資材の骨材との一体化
実証結果
・耐風荷重試験基準50m/sクリア
・耐積雪荷重試験基準50kg/㎡クリア
・鉄骨ハウスと同等の採光性の確保
・コスト坪単価6〜7万円台

類似施設との比較

 私たち木楽創研の多用途耐候性木骨ハウスは、類似の大屋根型鉄骨ハウスと比較して「建物の性能」では同等程度の強度を持ち、「二酸化炭素排出量」は1/20程度となっています。
 また、在来工法の木造山形トラスと比較して「コスト」は約2/3程度に抑えられています。

 作成:KEN設計(一級建築士事務所)

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